スマートファクトリーとは?関連用語もあわせて解説

第四次産業革命真っ只中の現在、その流れを受け、世界中の製造業が変化せざるを得ない状況に立たされています。
そんな中でこの数年よく聞かれるようになったのが「スマートファクトリー」という言葉です。

時代の波に乗り遅れない為に企業規模の大小関わらず必須と言われている「スマートファクトリー」。
今更「知らない」とは言えないこのワードについて、基本的な点はしっかり押さえておきたいところですよね。

そこで今回の記事ではこの「スマートファクトリー」について、とってもやさしく解説していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

目次

第四次産業革命とは?
スマートファクトリーとは?
スマートファクトリーもまた、定義は難しい
「Industrie4.0」とマスカスタマイゼーション
製造業にとっての「今」という時代の難しさ
まとめ:第四次産業革命はもう「始まったばかり」ではない

 

サクッと確認!

ポイントまとめ

・第四次産業革命とは「IoTやAIなど、新しい技術の活用によって産業、及び社会の構造に大きな変化が起きること」

 ・スマートファクトリーの目的は、当事者自身で設定するもの

 ・スマートファクトリーをあえて定義するなら「IoTやAI等の最新技術を活用し、これからの時代に対応した、より効率的な生産を行う工場」

 ・マスカスタマイゼーションとは「「カスタマイゼーション」を「マスプロダクション」のように効率的に行う生産方式」

 

解説は以下をチェック!

第四次産業革命とは?

スマートファクトリーの背景として本記事冒頭にいきなり登場した「第四次産業革命」ですが、まずはこちらから解説をしていきましょう。

というのもスマートファクトリーについて理解するにあたって第四次産業革命の理解は必須となるからです。

まず産業革命とは、簡単に言えば「新しい技術の活用によって産業、及び社会の構造に大きな変化が起きること」と述べることができるかと思います。

・第一次産業革命…機織機、紡績機、蒸気

・第二次産業革命…電気、石油

・第三次産業革命…コンピューター、インターネット

・第四次産業革命…IoT、AI等

それぞれの詳細については今回は割愛しますが、第四次産業革命について言えば、その流れに乗るには製造業でのIoTやAI等最新技術の活用が必要ということが分かっていただけるかと思います。

そこで登場するのが「スマートファクトリー」です。

スマートファクトリーとは?

さて、これを踏まえたうえで「スマートファクトリー」とは一体何なのでしょうか?

その名の通り「スマートな工場」ではあるのですが、ここにおいての「スマート」の意味については、第四次産業革命について理解していればある程度察しがつくはずです。

そう、ここで言うスマートとは「IoTやAI等の最新技術を活用している」という意味になります。

とするとスマートファクトリーとは「IoTやAI等の最新技術を活用している工場」ということができるかと思いますよね。

誤りではないのですが、これにはもう少しある要素を足してあげる必要がありそうです。

DXの回でもお伝えしましたが、重要なのは「何を使うか」という手段の部分よりも、それで「何をするか」という目的の部分になります。

単に製造業の中でAIやIoTを用いるだけでは不十分で、「活用」ができなければなりません。

第四次産業革命とは

しかし「活用」というのは目的があってこそできるもの。

「IoTやAI等の最新技術を活用している工場」という説明の中には、肝心の目的の部分が足りていないのです。

 

それでは一体、スマートファクトリー化する目的は何なのでしょうか?

スマートファクトリーもまた、定義は難しい

 

さて、正直に申し上げますと、このスマートファクトリー化の目的という部分も、はっきりひとつの定義を提示するというのは難しいかと思います。

 

というのもDXの時と同様、最新技術を用いて実現できることの多くは、まだ現在時点では実現ができていない、または存在していないものになります。

これまで実現できなかったことが、新しい技術によって実現できるようになる、というのが「産業革命」なのですから、最新技術によってどのようなことを実現したいか考えて目的を設定するのは私たちであって、その目的は本来定義ができるものではないのです。

スマートファクトリー

しかし世界的にスマートファクトリーへの取り組みが進み、その目指す形や様々な実例が出てきている現在、それを参考にすることでスマートファクトリーのあり方を掴むことができるのではないでしょうか。

 

それでは、実例をひとつ見てみましょう。

「Industrie4.0」とマスカスタマイゼーション

スマートファクトリーの目指すところを考える上で、必ず押さえておきたいのがドイツの「Industrie4.0」です。

これは2011年に公布されたドイツの国家としての政策で、言葉自体の意味としては、ドイツ語で「第四次産業革命」という意味になります。

その内容をかなりざっくりと説明すると、産官学が連携しスマートな工場、つまりスマートファクトリーを実現しよう、というものです。

注目すべきは、その提言の中で、スマートファクトリーにより実現できる生産方式として述べられている「ダイナミックセル方式」です。

これまでの工場での生産は、決められたひとつのものを大量に生産する、というのが基本でした。

なので、例えば一個の製品についてのみ一部の部品だけ変えてほしい、という要望があったとしても、実現は難しいものでした。

または実現できても、工場のラインの中では行うことができないため、人の手を使うなどして大きな労力とコストを費やさなければならないものでした。

 

これが今までの大量生産「マスプロダクション」です。

Industrie4.0

一方でグローバル化の進む昨今、顧客は類似した様々な商品を容易に比較できるようになりました。

このことにより、顧客に商品を選んでもらえるようにするには、競合より安くするか、他とは違う付加価値を出すかのいずれかが必要となります。

 

しかし価格競争にも限度がありますし、過度な価格競争は業界そのものを疲弊させる大きな要因となります。

とすれば付加価値で競合と差を付けようというのは当然の流れと言えるでしょう。

また市場のグローバル化に従い、顧客のニーズも多様化しています。

こうした時代背景の中で必要になってきたのが、個々に合ったオーダーメイドの商品を作る「カスタマイゼーション」を「マスプロダクション」のように効率的に行う、「マスカスタマイゼーション」です。

商品

今回はその方式の詳細については割愛しますが、IoTやAI等の最新技術を用い、自ら考える工場「スマートファクトリー」にすることで「ダイナミックセル方式」での生産が可能になり、

これまでは非効率で割高であったオーダーメイド商品を、効率的に、かつ低コストで生産する「マスカスタマイゼーション」が可能になる、というのです。

 

これはあくまでもひとつの例ではありますが、時代の要求に合わせた生産を行うという意味でも、スマートファクトリーの重要性が増しているということが見えてくるのではないでしょうか。

 

製造業にとっての「今」という時代の難しさ

マスカスタマイゼーションを求める時代背景についてお話してきましたが、現在製造業が直面している課題は、勿論これにとどまりません。

具体的には以下のような問題が挙げられます。

・人材不足

・技術継承の難化

・IT活用の遅れによる競争力の低下

 

今スマートファクトリー化への動きが活発になっているのは、これまでの時代にはなかった、今の時代であるからこそ発生したこれらの課題も背景にあると言えます。

既存のシステムの利用だけでは、今現在直面しているこれらの問題に対応することは難しくなっているのです。

逆を言えば、スマートファクトリー化を進めることには、これらの課題を解決することができるという大きなメリットがあるとも言えます。

これらのことから考え、あえて定義するのであれば、スマートファクトリーは以下のように表すことが出来るのではないでしょうか。

ポイント:スマートファクトリーとは「IoTやAI等の最新技術を活用し、これからの時代に対応した、より効率的な生産を行う工場」

なお、スマートファクトリーのメリットについては次回の記事で解説しますので、是非チェックしてみてくださいね。

最新と謳われているIoTやAI等の技術の活用は、現在社会的にはかなり進んできていると言っていいでしょう。

日頃の生活の中でも、スマートフォンやスマートスピーカーなどでAIのサービスを使われている方は多いでしょうし、スマートフォンから自宅の電気やエアコン、自動式掃除機を操作したり、室温を確認したりなどされている方も少なくはないと思います。ここまで人々の生活に浸透している技術ですから、業務の効率化にこれらを利用する流れになっているのは、至って当然のこととも言えます。

これは勿論、製造業も例外ではありません。IoTやAIの活用はもう「当たり前」の時代なのです。

 

まとめ:第四次産業革命はもう「始まったばかり」ではない

既にお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど少し紹介したドイツ政府の技術政策「Industrie 4.0」も、2011年の公布からはや10年以上が経過しています。

第四次産業革命やIoT・AIの活用、そしてスマートファクトリーは、決して未来のものではありません。

寧ろ、製造業が「たった今」直面している課題に対する解決策になり得るものなのです。

これらの課題に対応できるかできないかは、今後の命運を大きく左右する部分になるでしょうし、その影響は中小企業であれば尚更大きなものとなるでしょう。

今や誰一人として「関係ない」と言っていられない状況となっています。

スマートファクトリーに取り組むべき時は、正に今だと言えるのではないでしょうか。

最後に今回の記事のポイントをまとめておきますので、復習などにお役立てくださいね。

ポイントまとめ

・第四次産業革命とは「IoTやAIなど、新しい技術の活用によって産業、及び社会の構造に大きな変化が起きること」

 ・スマートファクトリーの目的は、当事者自身で設定するもの

 ・スマートファクトリーをあえて定義するなら「IoTやAI等の最新技術を活用し、これからの時代に対応した、より効率的な生産を行う工場」

 ・マスカスタマイゼーションとは「「カスタマイゼーション」を「マスプロダクション」のように効率的に行う生産方式」

 

次回はスマートファクトリーのメリットについて解説していきます。次回もやさしく解説していきますので、是非チェックしてみてくださいね。

ここまで読んでいただきありがとうございました!