知らないから進まない⁈「デジタルトランスフォーメーション」の本当の意味を徹底解説!~前編~
多くのビジネスマンにとって聞き慣れた言葉となった「デジタルトランスフォーメーション」。
一方でその実、本来の意味を認識されている方はどれほどの数いるのでしょうか?
デジタルトランスフォーメーションを進めたいのに、進まない、進められない…
その原因は、もしかするとデジタルトランスフォーメーションへの「認識」にあるかもしれません。
「よく聞く言葉だけれど何なのかよく分かっていない…」
「ICT化と同じでしょ」
「最新技術を使っておけばいいんじゃないの?」
なんてお思いの方も少なくないのではないでしょうか
そこで今回の記事では、「デジタルトランスフォーメーション」という言葉の意味について、2回にわたってやさしく解説していきます。是非参考にしてみてくださいね。
目次
「デジタルトランスフォーメーション」の定義
「Digital Transformation」の訳
DX」の略称について
日本における「DX」という言葉
①DXという言葉の生まれた、欧米でのDX
目次
「デジタルトランスフォーメーション」の定義
はじめにこんなことを書いてしまうのはあまり気が進みませんが、やさしく解説と言った手前、この際はっきりとお伝えしようと思います。
「デジタルトランスフォーメーション」という言葉の定義は、はっきりしたものはないというのが実情です。
そもそも、日本におけるデジタルトランスフォーメーションの現状や認識は、欧米のそれともまた異なります。かつ日本国内でも使われる場面によって意味するところはまちまちです。そのため一概に「これがデジタルトランスフォーメーションだ!」と断言するのは難しい状態となっているのです。
「じゃあ、デジタルトランスフォーメーションって結局なんなんだ!」
これは皆さまの心の声であろうと同時に、記事執筆のために調査を始めた筆者自身の声でもあります。
この疑問のもと調査を進めたところ、「デジタルトランスフォーメーション」という言葉を取り巻く状況が浮かび上がってきました。そこでここからはデジタルトランスフォーメーションの現状も含め、順を追ってひも解いていきたいと思います。
「Digital Transformation」の訳
デジタルトランスフォーメーションという言葉は英語で「Digital Transformation」と表記しますが、何も考えずに直訳すれば「デジタル変換」となります。
デジタルという言葉は日本語としても定着していますので特に困らないかと思いますが、問題は「Transformation」の訳です。
調べると「変換」「変形」「変身」「改変」「変幻」など様々な訳語が出てきます。
これらの訳語から「Transformation」という言葉の本質を汲むとすれば、「劇的な変化」といったところになるでしょうか。
ここから考えると「Digital Transformation」を日本語にすると「デジタル技術による劇的な変化」とするのが元のニュアンスに近い訳になるかと思います。
DX」の略称について
デジタルトランスフォーメーションの略語として「DX」というワードを見かけられた方も多いのではないでしょうか。
「Digital Transformation」という言葉であれば、「DT」と略すのでは?と思ってしまいますが、英語では「Trans~」という言葉を「X」と略すことが多い為、「Digital Transformation」も「DX」と略されるのだそうです。
なお一部の論文ではDTとされている場合もあるようですが、一般的にはDXの方が圧倒的に使用頻度が高くなっています。
本記事でもこれ以降は基本的に「DX」の表記で進めて行きます。
日本における「DX」という言葉
さて、いよいよここからが肝になりますが、現在日本ではDXという言葉が様々な意味で使用されています。
DXについて調べてみたものの、ページによって言っていることがまちまちで結局何なのかよく分からない、という経験をされた方は少なくないはず。
その原因は、「DX」という言葉が文脈や発信者の立場によって、違った意味で使われていることにあるのです。
またそのことを認識しないまま、全ての文脈の意味がごちゃ混ぜになったような状態で説明・認識されている事も多く、この現状が「DX」という言葉をますますぼんやりとした不明瞭なものにさせていると言えるでしょう。
そこで本記事では、以下3つの意味での「DX」について述べたいと思います。いずれもDXという言葉の歴史や現在の日本でのDXを考える上では押さえておくべき部分でしょう。
①DXという言葉の生まれた、欧米でのDX
②経産省の「DXレポート」(後編で解説)
③マーケティングに使われる売り文句としてのDX(後編で解説)
①DXという言葉の生まれた、欧米でのDX
さて、DXという言葉が生まれたのはもちろん欧米ではあるわけなのですが、それではそのDXの本場とも言える欧米では、DXはどのように定義されてきたのでしょうか?
これについては様々な有名大手企業が各社ごとに定義をしてはいますが、こちらも残念ながらはっきりとしたひとつの定義を提示するのは難しいところになります。
しかし既にDXに成功したといわれているいくつかの企業の例を見れば、その概要を掴むことはできるのではないかと思います。早速いくつか見ていきましょう。
・Amazonの例
今では誰もがおなじみのAmazon。コロナ禍の影響もあり、ますます利用が増えたという方も多いのではないでしょうか。
創業当時のAmazonは本のネット通販事業を行っていましたが、現在では本以外にも洋服やおもちゃ、電化製品や生活用品までなんでも揃います。ひとつのサイトで全ての買い物が済むのは消費者としてはありがたいですよね。
またAmazonは顧客の使いやすさを何より重要視しており、住所などの情報を都度入れずともワンクリックで購入が済むボタンや、閲覧履歴などの情報から各顧客ごとにおススメの商品を表示するなど、テクノロジーを駆使して顧客にとっての使いやすさの追求を行っています。
更に本に関しても、専用の端末やアプリを開発して電子書籍も販売。動画や音楽の配信サービスも多くの利用者を獲得しています。
これまではスーパー、本屋、衣料品店、玩具店、レンタルビデオ店など、それぞれの店へ足を運ばなければできなかった買い物が、今はこのサイトひとつで完了。
それだけにとどまらず、これまでのネットショッピングサイトよりも更にその使いやすさを向上させています。
買い物の形をガラッと変えたAmazonの例は、正にDXのお手本とも言える事例です。
・Uberの例
欧米を中心に展開しているUberの配車サービスですが、日本ではフードデリバリーでご存じの方が多いのではないでしょうか。
配車サービスとデリバリーサービス、いずれのサービスにも共通しているのは、それまで企業で所持していたリソースを所持しないようになった、という部分です。
これまではタクシーであればタクシー会社が車両や運転手というリソースを、デリバリーであれば各店ごとにデリバリー用のバイクや人員を確保し、管理を行ってきました。
しかしUberではそうしたリソースを持たず、車を持った一般の方がドライバーとしての役割を担っているのです。
この仕組みにおいては、企業が持つのは顧客・ドライバー・飲食店をつなぐためのシステムのみ。
企業側での管理業務を大幅に削減することが可能になりました。
配車やデリバリーサービスを使う顧客側は、出発地や目的地の指定から支払いまで全てアプリ内で完結させることができ、通常のタクシーのように都度行き先を口頭で伝える必要はありません。
また特に海外では多いタクシーでのぼったくりも、アプリを通じての支払であれば心配なし。
顧客がドライバーの評価をする仕組みとなっているので、会社で雇用しているドライバーではないのにも関わらず、ドライバーの質を保つことも可能になっています。
テクノロジーを用いてそれまでの事業のあり方を根本的に変化させたことにより、顧客と企業、双方の利便性を飛躍的に向上させたUberもまた、DXの成功例として有名なものです。
・2つの例の共通点
これらの例に共通しているのは、これまで一般的と考えられてきた物事の形を、大きく変化させたことです。そしてこれはデジタル技術の発達した現代だからこそ実現したものと言えます。
近い言葉でデジタルディスラプション(Digital Disruption)という言葉がありますが、これはデジタル技術によってディスラプション(=崩壊)を起こすこと、つまりこれまでの形を根本から崩壊させ変化させることを言います。
欧米で言うDXは、これとかなり近い認識であると考えられるでしょう。
ここでポイントになるのは、DXは何を用いるかより、何をするかが重要になるということです。
このことはDXの現状を理解するうえでもカギになります。
続きは次回の記事をチェック!
今回はかなり長くなりましたので、続きの解説は次回の記事でお送りいたします。
次回の記事も是非チェックしてみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました!